照射系、注入系、通糸系、切るフェイスリフトの4つに大別されます。
照射系はシワ・タルミに効果のあるものは主にRF(ラジオ波)であり、真皮レベルまで加温することでコラーゲンの活性化を促し肌にハリを出す。というものですが、ハッキリ言って目に見えるほどの効果は出ません。リフティングとは明らかに言い過ぎで、タイトニングが関の山です。
注入系はフィラーとして、コラーゲンやヒアルロン酸、(自家)脂肪注入が挙げられますが、コラーゲンやヒアルロン酸はシワまたは小さな陥凹、脂肪注入は鼻唇溝のような大きなシワや陥凹に用いられます。昔は液体シリコンを入れていたものですが、異物のため異物反応で「扇風機おばさん」のような醜形の被害が出ました。
なお平成18年頃より血小板注入注入療法PRP(リジェンACR)も出ておりますが、長期成績では満足度は高くないとの批評が聞かれます。キットはメーカーから安価で発売されており、医師はやる気になればすぐ開始できるのに行っている医師が一部に留まっているのが現状です。
通糸系は、アプトス・ワプトス、ケーブルスーチャー、シルエットリフトなどありますが、これも長期成績では満足度は高くないものです。
この治療は最初ロシアンリフトとして高須先生が紹介したものですが、その高須先生ご自身が近年、結局は皮膚を切り取らなければダメだというような発言を繰り返されています。そして私は顔下1/3のボリュームダウンが重要と思っています(下記画像)。
切るフェイスリフトは、顔のシワ伸ばし、タルミ除去として昔から「吊り上げ」と呼ばれてきた手術です。
昔は表面の皮だけを切り取って縫い縮めるだけで、医師によってはキメの流れを無視した切縫も多くかったようです。私は年輩の患者さんを顔を見ては、フェイスリフト特有のキツネ顔で勝手なところに傷が付けられていた人を数多く確認しました。しかし1976年にフランス人医師がSMAS(表在性筋膜)も吊り上げることを提唱し、それが世界中に普及してからは、自然で綺麗な仕上がりも増えました。
歴史的には@皮膚を剥がさず皮膚切縫→A皮膚を剥がして切縫→BSMAS(ただ縫縮or切除し縫縮→CLitaining Ligaments(SMAS下の靭帯の引き上げ…このCはこの数年提唱されていますが、評価が定まるのは、もうしばらく掛かりそうです。
なおコメカミのフェイスリフトの場合、ここにSMASと呼べるものはありませんから同様なGALEA浅層を引っ張ります。
SMASは頬の皮下、GALEA(帽状腱膜)はコメカミの皮下にある線維性の丈夫な膜で、皮膚だけ引っ張ったよりも、明らかに効果がでます。また皮膚だけ引っ張った場合に「能面」のようになっていくのに対して、SMASやGALAは表情筋に関与していますから自然な若返りが期待できます。なおplatysma(広頸筋)は顎〜首にかけて存在する薄くて広い筋肉で、二重顎や首のシワのリフトで吊り上げると同様に効果的です。
また手術時、剥離を小さめにしてSMASはしっかり引っ張れば皮膚の切縫時に剥離部が僅かにできるので、このリフトはミニリフトとして腫れなくて効果もある手術として一定の価値のあるものとなっています。
ただ近年、Litaining Ligaments(SMAS下の靭帯)の提唱の際は「SMASを引っ張ること」にどれだけの意味があるんでしょうか?というような事が学会でも言われ、私自身もSMASはシッカリ引き上げたミニリフトの人が2年も経てば随分効果が失われていることは何度も経験しています。
SMAS、GALEA、platysma、Litaining Ligamentsなどをいくら引っ張っても、その部位が伸びきってしまえば効果は失われます。しかし皮膚を広く剥がして引っ張れば皮膚がその下の皮下組織より上に行って癒着してしまい、これは何年経とうと位置が変わらず効果の持続性をもたらすのです。
SMASをしっかり上げてもブルドッグのような頬のタルミの改善は不十分です。この場合、そこを脂肪吸引することは大変効果的です。ボリュームを減らすだけでなく吸引管が通ることによる剥離もできます。
二重顎も脂肪吸引が効果的です。なお二重顎の場合は広頸筋(platysma)の引き上げがSMASの引き上げに代わるものとして行われます。
まだフェイスリフト手術を行なうご年齢でなくても頬が弛んで来た場合、主にファイスラインの頬脂肪吸引だけをするのは選択肢の1つです。上の症例はそれで行ないました。美容外科医師の中には脂肪吸引を行なったら皮膚が余って肌のハリがなくなる&シワが出るからフェイスリフトとセットで行なうのが当然と言う者もおりますが、顔の脂肪吸引は表層脂肪吸引もするので、ある程度はハリが回復します。しかし大きな期待は出来ません。元々の肌質から脂肪吸引だけでも大丈夫かどうか考えてやるものですが、目立たないまでも肌にハリが無くなるのは仕方はありません。
東洋人の顔は平べったく、耳の前で引っ張っても頬骨から前に回り込んで、鼻唇溝まで力はほとんど来ません。しかし糸のリフトのケーブルスーチャーやアプトスは本来、中顔面に最も効果的ですので、フェイスリフトとの組み合わせが近年盛んに行われます。
糸のリフトの問題点は手術直後は通糸した穴がツレること、皮膚を切らずに上げようとするから歪むこと。術後早期に治療効果がなくなってしまうこと、時に糸が露出することです。
切るフェイスリフトの問題点は、傷が汚い、ごく稀に創縁の皮膚壊死。また切った割に効果がない、逆に後々効果があっても凄く腫れた、皮下出血が目立った。
なおあってはならないことですが、神経損傷(大耳介神経、顔面神経)は聞いた事はあります。